肝細胞がん、両側肺転移の45歳男性の患者さんです。肝細胞がんの診断を受け肝臓の一部を切除しましたが、1年後に両側肺に転移が見つかってしまいました。抗がん剤の全身投与をおこなうも、残念ながら効果は得られず当院を受診されました。来院当初より月1回のBRP投与をおこなっていましたが、治療を開始してからの5ヶ月間は大きな腫瘍は増大し、小さな腫瘍は大きな腫瘍より早期に縮小していることがわかります。
このように、治療に対する反応性は腫瘍のサイズにより異なり、やがて右肺野の大きな腫瘍も縮小しはじめ、治療開始から3年11ヶ月で画像にほとんどの腫瘍を確認できなくなりました。この患者さんは治療期間中、通常の勤務をこなし、残業もこなすほど体調が安定していました。免疫監視療法では、腫瘍の増殖力に免疫力が追いつくまでは抑制力が不十分なため腫瘍は増大します。しかし、免疫力が追いつくと増殖を抑制し腫瘍は縮小するようになるのです。